2026.03.30プレスリリース

がん研有明病院とPSPが周術期管理の質の向上をめざし周術期早期回復プログラムのアプリケーション化の研究を開始

公益財団法人がん研究会有明病院(所在地:東京都江東区、病院長:佐野 武、以下「がん研有明病院」)肝胆膵外科の小林光助医師、山根聖弘医師、髙橋祐部長らの研究グループとPSP株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:依田 佳久、以下「PSP」)は、膵頭十二指腸切除または肝門部胆管癌に対する待機的手術を受ける患者を対象に、スマートフォンアプリを用いた周術期管理の実施可能性(feasibility)と術後成績を評価することを目的とする研究を開始します。

【ポイント】

●外科手術においては、周術期の栄養管理やリハビリテーションを含む術後早期回復プログラム(Enhanced Recovery After Surgery、以下、ERAS)は手術の成功と患者のQOL(生活の質)向上を最大化するために重要な要素です。
●しかしながら、プログラム運用・管理には患者さんの実施率、評価のばらつきなど課題があります。また、プログラム内容の拡充や対象患者さんの増加に伴い、医療者の業務負荷が増大する可能性も懸念されます。
●本研究では、がん研有明病院が実地臨床において導入しているERAS(がん研プログラムPERICAN)をスマートフォンアプリ化(以下「PERICANアプリ」)して周術期管理を行い、プログラムの実施率や評価に関する向上に寄与するかを検証します。
●「PERICANアプリ」では、従来冊子で提供していたERASの説明内容を動画化し、理学療法士や管理栄養士による専門的な解説をアプリ上でいつでも視聴できるようになります。患者さんはリハビリテーションの正しい方法や術前・術後の栄養管理について、専門スタッフのわかりやすい動画指導を通じて、より深く理解し実践することができます。
●さらに、担当医による手術説明を補助するツールとして、アプリ上で術式に関する詳しい解説動画を視聴できる機能を搭載します。患者さんは診察室での説明に加え、アプリを通じて手術の流れや内容をくり返し確認することができ、インフォームドコンセントの質向上にも寄与します。

患者さんの研究参加にあたっては、担当医師が事前に患者から同意を取得します。得られたデータは病院内で厳重に保管し、法令、ガイドライン等の各種規制を遵守します。

【背景】

本研究は、膵頭十二指腸切除または肝門部胆管癌に対する待機的手術を予定している患者さんを対象としています。外科手術における周術期合併症の予防と術後の早期回復は、手術の成功と患者のQOL(生活の質)向上を最大化するために重要な要素です。近年、手術技術の進歩や周術期管理の向上により、がん患者さんの術後成績は改善していますが、高齢患者さんの増加や術前のサルコペニア、併存疾患の影響により、術後合併症のリスク上昇や在院日数の延長が問題となっています。特に、周術期の栄養管理やリハビリテーションを含むERASの導入は、術後転帰を改善する可能性があります。しかし、現行の書面によるERASの運用には、患者さんごとの実施率(コンプライアンス)の低さや、プログラムの評価・管理の難しさといった課題があります。

【目的】

本研究は、ERAS運用の国内の課題を解決することを目的としています。患者さんが適切なタイミングでアプリから必要な情報を受け取ることで、自己管理を行うことを支援します。具体的には、食事、服薬、リハビリ、歩行などの行動記録を行うことができます。また、従来冊子で提供していた説明内容を動画化し、理学療法士や管理栄養士による専門的な解説動画をアプリ上で視聴可能とします。さらに、担当医による手術説明を補助するツールとして、術式に関する詳しい解説動画もアプリ内に搭載し、患者さんが手術内容を繰り返し確認できる環境を整備します。
「PERICANアプリ」により行動変容を促し、術後合併症の抑制や術後補助化学療法の導入率向上など、術後転帰の改善を図ることが期待されます。さらに、患者さんの実施状況をリアルタイムでモニタリング・評価し、データベース化することで、周術期管理の質の向上や医療従事者の業務負担の軽減が期待されます。本研究で得られた知見やシステムは、他の診療科や医療施設におけるERAS導入・運用の参考となり、国内における周術期管理の質向上や標準化に寄与することが期待されます。

【実施期間】

2026年4月~2027年12月

【各社の役割】

●がん研究会
  ・「PERICANアプリ」の実施
  ・アプリケーションに伴う周術期管理及び医療者業務の評価

●PSP
  ・「PERICANアプリ」開発及びシステム管理

【コメント】

がん研有明病院の佐野 武 病院長は次のように述べています。
「当院はハイボリュームセンターとして日々多数のがんの手術を行っています。当院のERASである「がん研プログラムPERICAN」がより確実に運用され、手術後の経過が改善することは、多くの患者さんのより良い生活につながります。この度のPSPとの共同研究が、がん研究会が掲げる理念「がん克服を持って人類の福祉に貢献する」の実現に向けた着実な一歩になることを期待します。」

PSP 代表取締役社長の依田 佳久は次のように述べています。
「『医療情報をみんなの手に。そして未来へ。』をテーマに患者向けのPHRサービスを推進する当社にとって、日本を代表するがん専門病院であるがん研有明病院様と、PHRアプリを活用したERASの取組という共同研究を実施させて頂くことを大変光栄に思います。がん克服という人類の大きな目標に向けた一助となるよう、プロジェクトメンバーは一丸となり全力で取り組んで参ります。」

■ 公益財団法人がん研究会について

がん研究会は、「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」ことを基本理念として掲げ、研究所と病院が一体となってがんの本態と個性を明らかにし、がんの診断・治療・予防に貢献すると共に、生命科学の先端を開拓することを目指しています。その実現に向けて、新薬開発のための臨床試験(治験)や、新たな治療法・ 診断法の開発につながる臨床研究を積極的に実施しています。また、基礎研究を診断・治療法の開発へつなげる橋渡し研究、いわゆる「トランスレーショナルリサーチ」も推進しています。

■ PSP株式会社について

PSPは、医用画像管理システム(PACS)の開発、販売を主力事業としています。全国に約2,500施設の顧客を有し、稼働施設数ベースでは国内の22%超のシェアを有しています。今後、市場におけるPACSシェアの拡大のみならず、病理、AI関連事業、一般利用者向けのPHRサービス、医療データ利活用事業等、新規サービスの展開を加速して参ります。

問い合わせ先

公益財団法人がん研究会
社会連携部 広報課
Tel:03-3570-0775
E-mail:ganken-pr@jfcr.or.jp

PSP株式会社
新規事業開発本部
Tel:03-4346-3180
E-mail:new-biz-dev_div@psp.co.jp

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