国立病院機構 熊本医療センター

放射線科 吉松俊治 医長

「熊本医療センターは、病床数525床、診療科24の総合病院です。救急車の搬入台数は年間8,000件、平均在院日数12.5日の急性期医療病院です。新病院が9月25日に開院し、電子カルテシステム(以降、電カル)、画像サーバーシステム全てを移設・移転しました。当院では、電カルとフィルムレス運用はかなり早くから実践できたと思います。この5年間で、劇的な変化を遂げました」

システムの安定性

放射線科にPACSを導入して5年、院内の完全フィルムレスから3年経ちました。放射線科にPACSを導入したのは2005年1月です。計画的に2006年に電カルを導入し、2007年2月にフィルムレス運用を開始しました。完全電子化をしてから3年が経過しています。
当初、フィルムがなくなることやシステムに対する不安は少しありましたが、実際始まってみると診療科の医師からも評判がよく、画像はモニターでなければ診療できないという声も聞こえてきました。
診療報酬制度の改定の際には、画像診断加算2もしっかり取れるようになりフィルムレス化にして本当によかったと思っています。

救命救急センターでの効果

救急外来は、毎日たくさんの患者さんが来られます。診療していく中で、画像がやはり一番大事なところを占めます。撮影した画像がすぐに見られること――これはフィルムレス運用でなければできません。
日に20~30台の救急車が入りますが、ほとんどの患者さんがCTの撮影をします。撮影をするとすぐ、「画像を読影してほしい」という依頼がきますが、ほぼ全ての依頼に対応しています。
救急外来以外にも一般外来の患者さんは日勤帯にたくさん来ますが、当院では、多くを単純写真と同じように予約なしで撮っています。予約が30件くらいありますと、予約外が60件あり1日100件近くのCTを撮っています。それらの画像は、30分以内に読影レポートをつけて返しています。

拡張のしやすさ

2005年のPACS導入時には、CT、MRI、CRのDICOM保存を行ないました。それからX線テレビシステム、シンチのDICOM保存を順次行ない、さらに新しいMRIや血管造影装置を導入する時にハードディスクを新たに追加してデータ容量を増やしていただきました。新しい装置の導入の際にデータの容量を増やすために、ハードディスクを増やしたりサーバーを増設したりするなど簡単にやっていただき、本当に助かっています。

万全の保守対応

定期的にメンテナンスをしていただいているだけでなく、何かあったときにはすぐにサポートしていただいています。リモートメンテナンスもよくやっていただいていますし、リモートで対応できない時にはすぐに来てもらい対応していただいています。
営業所が近くににあるということもありますが、夜間でもすぐに来てもらえるというのは非常に心強く思っております。
当院では、医師も技師も看護師も夜間の方が忙しく動いています。救急外来の患者さんは夜間の方が多いくらいです。その時に画像サーバーが止まると、フィルムレスの運用ができなくなりフィルムを手渡しするような状況が起こります。その状況は、経験上とても大変だということが分かっていますので、やはりすぐ対応していただけるということが一番心強いところです。
システム自体のトラブルというよりは、一番困るのが自然災害で電気が止まることです。その時には、電カルがダウンしますので、オーダーもできないし医事会計もできないので全てが止まります。以前のように紙運用で全てを動かすことしかできません。その体制は残してあります。
災害以外に、旧病院だった頃に実際にあった出来事で、サーバー室の空調がダウンして温度が上がってサーバーが固まってしまったことがありました。古い病院だったので設備も良くなかったということもあったでしょう。
お正月の出来事でしたが、救急外来は止めるわけにはいきませんので、次々と患者さんが来ます。エンジニアの方がすぐにかけつけてくれ、扇風機を回して温度を下げ、なんとかその場をしのいでくれて、事なきを得ました。
また他のトラブルでは、新しい装置を導入した時にネットワーク回線の不備が起こり、その解決方法が分からないことがありました。困り果ててピー・エス・ピー(以下、PSP)に頼んだところ、それをちゃんと解決していただけました。

PSPだから安心

丁度、病院の移設・移転がPACS導入から5年目にあたりました。画像サーバーも当初予定していた5年を前にいっぱいになっていました。画像枚数が年々増加しているので当然のことなのですが、継続採用するにあたり画像サーバーの増設、ハードディスクの増設などが簡単に行なっていただけるというのが最大の理由だったと思います。 また、夜間休日でもメンテナンスにいつも対応していただいていたので、救急病院としてはそこが安心でき、頼れるポイントだと思います。

スピーディーな読影に欠かせない機能

読影する際に、ショートカット機能が充実していると非常にスピードが上がります。ショートカットキーや右クリックのメニューをセルフで設定できるということは、使い慣れた人にはものすごく重宝される機能だと思います。

トラブル皆無の移転作業

移転にあたり我々が一番恐れたのは、病院の機能を止めるということでした。「救急外来を1日たりともストップさせてはならない」との至上命令が下っていましたので。これはまず無理だろうと考えていましたが、救急外来こそ1日は止めたものの、PACSは1日も止めずに移設ができました。 電カル、フィルムレスといったように完全電子化してPACS運用している病院が新しい病院に引っ越すというのは550床規模の病院では恐らく初めてのことであろうかと思います。そこで何もトラブルが起こらなかったというのは普通では考えられないですが、これは、PSPのスタッフが総出で作業してくれたことでなせる技だったと心から感じています。

各種接続の工夫

病院の移設・移転にあたり、放射線科の検査を止めずに行なうにはどうすればよいかということで、病院移転の1週間前に電カルと画像サーバーを夜中に数時間かけて移設しました。そして、旧病院での放射線科の検査を新病院の画像サーバーへ送って保存し、新病院へ移転した後はそのままCTや一般撮影の検査を行ない、検査を1日も止めることなく無事に画像サーバーへ保存し電カルで参照できるようにしました。

移転後の変化

新病院では、128列と64列のCTが稼働しています。検査のスピードはかなり上がりました。特に、午前中の忙しい時間帯に次々と行なうCT検査に対応するためには、読影速度も上げなければなりません。EV Insite netはそれに充分対応でき、(放射線科医は苦しいのですが)非常に早く各診療科・救急外来から好評を得ています。

4Dシステムとの連携

128列のCTでは、4次元CT――3次元のCTに時間軸を加えた新しい撮影ができるようになっています。データ量も倍以上に増えましたが、それに対応してきれいな画像が描出できるというのはEV Insite netの良いところです。

画像と診断レポートを活用

2010年の4月から地域連携システムが動き始めます。治療、入院、そして後方支援を地域連携パスで紹介の先生方に担っていただく時に、院内の検査結果や退院サマリーをネットワークで参照できるようになる予定です。 ゆくゆくは、画像とその診断レポートもその際に参照できるようにしていきたいと考えています。