埼玉県済生会川口総合病院

放射線科 主任部長 伊藤直記先生

済生会川口総合病院は、首都圏に位置する一般病床400床の急性期病院です。2005年6月に新病院が完成、同11月にはPET-CTを導入するなど、あらゆる質の向上をめざしながら地域の医療をささえています。 「開かれた医療」を画像診断の面で捉えたとき、どのような設備やシステムを整えていったのか、過去•現在•未来を踏まえながらのお話を放射線科主任部長の伊藤直記先生にうかがいました。

3年くらいお使いいただいています。システム導入のきっかけを教えてください

実は最初、PSPという会社自体をまったく知らない状態でした。ちょうど当院でPET-CTが稼動するということで、それの読影に合わせて、PET-CTの予算の中から放射線科内のPACS化を実現しようという話が持ち上がっていました。
当初予定されていたのは、某メーカのPACSシステムだったのですが、あまりにも内容を見て貧弱だという風に感じていました。他にどこかいい会社はないかなぁと。そのとき、たまたまPSPの方からお電話いただいて――最初は何かの押し売りかと思ったのですけどね(笑)
「一度会ってお話を」ということで、実際にデモ機を持ってきていただいて見せていただきました。もう見た瞬間、「これだ!欲しかったのは」ということで、すぐその場でEV Insite netにシフトいたしました。
EV Insite  netの内容のうち、PET読影に関して僕が一番気になっていたことがあります。PET読影といいますとそれぞれのPET撮影装置が用いているワークステーションで読影する、というのが従来でした。ところがそれを当院でやるには、(読影室とPETが離れているため)場所をかなり移動しなければいけないというのがありました。できればPET-CTの読影をPACSの中ですべておこなえないかとお話した所、PSPはそれが可能であるというようなお話をいただきましたので、非常にありがたく感じたことを覚えています。

そのほか、決め手となった点はありますか

僕が前に赴任していた病院では、また別のビューアーシステムを使っていたのですが、前回・今回・過去の所見を比較するのに非常に手間がかかるであるとか、または距離計測や大きさを計測したときに、測るという作業だけではなくそれをまた消すという作業がかかることですとかにかなり不便を感じていました。
PSPのビューアーEV Insite Rを見せていただいたときに、前回・今回・過去の比較も非常に容易ですし、距離計測とかも容易にできることを実感しました。もちろんそれだけではなくて、EV Insite RとレポートシステムiReporterのマッチングの点で言いましても、僕が所見の中で「これをこうアピールしたい」ということがそのままアピールできるようなレポートシステムであったということも大きかったと思います。

弊社に決めていただいたポイントをお聞かせください

まさに「全国に拠点がある」ということではないでしょうか。開設からこれまで、随分と足しげく通ってもらいました。特に立ち上げ当初から2、3ヶ月は、どうやってもトラブルが出てきますから、身近に拠点があってすぐに来てもらえるということは助かりました。現在では定期的なサービスを受けています。

EV Insite RとiReporterのマッチングについて、使いやすい点をお聞かせください

他社になくてPSPにあってこれは素晴らしいと思ったのは、例えばEV Insite Rで前回と今回の写真を同じ大きさ、同じ範囲、同じ位置で比較させてiReporterにキー画像として貼り付けることができるところです。同時に日付をワンクリックで入れられますので、例えばフィルムを使って――フィルムは同じ大きさにならないんですけども――主治医の先生の目の前で「前回フィルムと今回フィルムのここのところが、ほら、こんなに違っているでしょ」と、説明するのと同じようなことができます。

1日に何件くらいの読影をしていますか

病院自体としては、CT・MRI・核医学の読影だけだと65~70件くらいです。そんなに多くはないですが、実はPET-CTの読影のほうがやっぱりありまして、それで時間がかかってしまいます。

これまでと比べて読影時間は短縮されましたか

もちろん楽になっています。やっぱりフィルムで来ますと前回の写真が存在しないこともあるので、今回の写真だけで読むということであれば時間は変わらないのかもしれないですね。ただ、まったく同じ作業をするということだけ考えると、フィルム読影の約半分にまで減らせると思います。また、システムが更に密な読影を可能にしているというのは、時間だけで語れないことです。
他社のビューアーを使った経験から言いますと、それと比べても――数字で言うのは難しいですが――2~3割はスピードアップが図れているのではないでしょうか。

院内の完全フィルムレス化はいつからでしょうか

病棟のフィルムレスは、2月中旬を目指しています。外来のフィルムレスに関しては、厚労省が決めるデジタル加算がどうなるのかによって多少変わります。ですがそれによっては、早ければ4月から完全フィルムレスになるかもしれません。

他科の先生の反応はいかがでしょうか

現在のトレーニング期間、人によって様々ではあるのですが、コンピュータにもともとある程度慣れている方には、興奮しながらやってきて「フィルムはもういらないように調整して!もう出さなくていいから!」って叫ぶ先生も多いです。もちろんコンピュータに慣れてない方には、「まだ使い方がわからない」とおっしゃる先生もいらっしゃいますけれども、概ね非常に好評をもって受け入れられています。

完全フィルムレス化に伴い、放射線技師の作業量は変わるでしょうか

かなり軽減すると思います。今までフィルミングに要していた時間を、その分撮影のほうに専念してもらうことで、おそらく最大で1割程度の撮影効率が上がるのではないかと考えています。
また、検査を増やすことができれば、患者さんの待ち時間を減らせることへもつながってきます。

希望された患者さんへ、CDでのデータ持ち帰りを検討していますか

はい。実際、要望のあるところにはそのようにしているのですが、CDで持ち帰ることの難しさというものも同時に考えています。というのは、やはりみなさん小さな病院から依頼されていらっしゃる場合が多いのですけども、そこにパソコンはあったとしてもDICOMビューアーの使い方がわからないとおっしゃる先生方もまだまだ多くいらっしゃいますからね。
最初のうちは、両立させてやっていこうと思っています。つまり、フィルムを希望される先生にはフィルム出しの部分を残して、CDで構わない先生にはCDでの配布を考えています。

地域連携について、今後の計画をお聞かせください

これまでのケースでいくとCDの中にビューアーソフトが入っていて、画像データの閲覧がそのCDの中に限られてしまう問題点が挙げられます。例えばその患者さんの次の患者さんが来たときには、CDを入れ替え、また依頼された先生が同じ患者さんの過去の画像と比較したい場合にも、CDを入れ替えなくちゃいけない。非常に面倒な作業を強いられることになると思います。
そこで僕の考えた地域連携のひとつには、EV Insite  netとほぼ同等の環境を、協力関係にあるそれぞれの小さな医院の先生方に提供できれば、CDでお渡しするということにもより抵抗感がなくなりますし、ひいては医療の質の向上につながるのではないかと考えています。

依頼元から、フィルムではなく画像データが送られてくることもお考えですか

はい。もともとはフィルムで、紹介ということもありましたけど、その場合コスト請求をどちらがもつのかという点もありまして、一番新しいCTであるとか一番新しいMRIであるとか、ごく一部の画像しか提供されないのが常でした。できれば、当院を中心とした地域連携の中においては、例えば当院から外――外から当院でも構わないのですが――その患者さんの初診から転院までのすべてのデータをお互いにやり取りできるようにしたい。そうすることで、ちょっとしたわずかな変化にも気付いて、早い対処ができる――そういった医療の質の向上につながるようなシステムを作り上げたいと思っています。

後方連携についてのお考えを聞かせてください

後方連携ということですと、なかなかクリアしていかなければいけない問題がまだまだ多いのですね。横との広がりはいいのですが、後方とのつながりになりますとよりすべての診療データ――もちろん画像だけでなく――をやり取りできるようになるまでは、まだちょっと時間がかかるなと思います。例えば、画像・検査データのCD受渡しは可能であっても、それには、画像にしろ血液データにしろの共通言語をもってやり取りできるような環境にならなければいけないのだと思います。
今画像の世界では、DICOMデータに圧縮をかけてますよね。圧縮は必要なことなのですが、他病院に送るときにその圧縮を解除するというところまで考え方をめぐらせているメーカがまだまだ少ないというのが現状だと思うんです。ですので、例えばEV Insiteを使っていますと、DICOMデータがあればそのDICOMデータをマウスでつまんでビューアーにドラッグするだけで展開するはずなんですが、それに対応しているDICOMデータというのがまだごく一部である、ということがあります。それはおそらく、DICOMデータそのものではなく、圧縮をどこまで解除するかという配慮がなされてないためではないかと思います。
DICOMの圧縮方法には何種類かありますが、その扱いやすさは各メーカがどこまでサポートしているかにかかってくるのではないでしょうか。それが見通せてくるまでは、例えば他院には圧縮しない形でデータのやり取りをすることも考える必要はあると思います。当院でも、必ずrawデータに戻してからお渡しするというように気を遣っています。

さらに望む機能はありますか

今までだいたい3年間使わせていただいた中で、要望はかなりかなえていただいております。更に希望があるとすれば、例えば病棟においてベットサイドで患者さんに画像を見せるというときに、院内のPACS展開を応用して、キー画像だけで構わないので「ベットサイド配信」ということが実現すればいいなと思っています。
あとは、緊急の患者さん――例えば夜中の緊急のCTであるとか――の場合に、ビューアーをそのままめくっていながら待機番のドクターのところへワンクリックで画像データを送れるようになればいいことかな、と思っています。

べットサイドでの説明に、EV Insite netで作成したPowerPointスライドのご利用を提案します

僕が主治医であればすぐにでも可能ですね。ですが、今実現できない問題点は、ウィルス対策です。病院の中のシステムとしてウィルスが怖いので、限定された場所でしかデータを書き出せないようにしようというような動きになっています。それがPowerPointを使って患者さんのベットサイドでプレゼンをするための障害になっています。お話いただいたように、ウイルスチェックを徹底したノートPCにデータを入れて、主治医が持ち運ぶという方法が可能であれば、データを移さないで済むのでより病院の中でウィルスが関与しないという環境の中でできるのではないかと考えます。